FX取引は、さまざまな魅力がある一方で、把握しておくべき危険性や注意点が数多くあります。本記事では、FXの危険性やリスクを回避する方法を中心に解説いたします。
FXにおける5つの危険性
FX取引で考えられる危険性は大きく分けて5つに分類されます。FX取引開始前に各リスクについて把握することが重要です。
- 為替変動リスク
- レバレッジリスク
- 金利変動リスク
- 流動性リスク
- システムトラブルによるリスク
為替変動リスク
為替変動とは、為替相場の変動により保有している資産の価値が変動するリスクのことを指します。
為替変動は、経済指標の発表や金利情勢、政治、需給の複数要因が複雑に絡み合って発生するため、価格がどのような動きになるかを予測することは困難です。想定通りの値動きとなった場合は利益を得ることができますが、想定と反対の値動きになった場合は損失が発生します。
特に、今後の経済状況に影響があるような経済指標の発表がある時などは、急激に為替が変動する可能性があるため、取引する際は注意しましょう。
レバレッジリスク
まずレバレッジとは、少ない資金で大きな金額の取引ができる仕組みのことです。よくFXの教科書などでは「てこの原理」と表現されます。レバレッジを活用することで大きな利益を狙える反面、損失も大きくなる点にリスクがあります。
例えば、1ドルの価格が100円のとき、100万円の資金で1万ドルの取引を行うと、レバレッジは1倍となります。
同じ条件で、25万ドルの取引を行った時のレバレッジは25倍（※1）となります。
レバレッジの計算式「（為替レート×取引数量）÷証拠金」
（100✕10,000）÷1,000,000円＝1（倍）
（100✕250,000）÷1,000,000円＝25（倍）
仮に25万ドルの大きなレバレッジをかけた取引をした場合、100円で買った後に101円になったとすると25万円の利益となります。たった1円為替の値段が上がっただけですが、25万円もの利益となります。逆に値が1円下がってしまい、99円になってしまった場合は25万円もの損失が発生します。
つまり、高すぎるレバレッジでの取引は利益も大きくはなりますが、損失も手持ちの資金に対して大きくなるため、注意が必要です。また、高いレバレッジで取引をすると、余剰資金も少なくなってしまうことから、為替の小さな値動きでロスカット（※2）されてしまう可能性も高くなります。レバレッジは大きくかけすぎないように心掛けましょう。
※1：国内のFX会社・証券会社はレバレッジの倍率が最大25倍までに規制されています。
※2：ロスカットとは、一定の水準以上の損失を被った場合に、損失の拡大を防ぐため、保有しているポジションが強制決済される制度です。投資家を保護する役割があるものの、意図しないトレードとなる可能性があります。
金利変動リスク
為替変動の他に、2ヶ国間の金利差によって損益が発生します。この金利差によって発生する損益をスワップポイントと言います。
スワップポイントは必ず利益を得られるものではなく、低金利通貨を買い、高金利通貨を売ると、その金利差を支払わなければなりません。
たとえば、米国の金利が5%、日本の金利が1%の時に、低金利通貨である円を買い、高金利通貨であるドルを売った場合、日本の金利1％を受け取ることができますが、米国の金利5％の支払いが生じるため、差し引き4%の金利差（スワップポイント）を支払う必要があります。
取引する通貨の金利状況が変わることで、受け取れるスワップポイントが少なくなることや、スワップポイントの支払いが生じることもあります。
また、スワップポイントは、金利差だけではなく、需給などの要因も絡み合って決まります。金利差があるから必ず受け取れる、必ず支払いが生じるというわけではないため、その点にも注意が必要となります。
流動性リスク
流動性とは、市場における売買のしやすさを表します。流動性が低い場合、需要と供給が少ないことから取引自体ができなくなったり、希望価格で売買できなくなったりすることがあります。
実生活でも同じですが、物を買うことができるのは売ってくれる人がいるから成立します。売り手の人数が多ければ、希望する価格で売ってくれる人がいる可能性が高まりますが、売り手が少なければ希望する価格で売ってくれる人がおらず、思うような取引ができない可能性が高まります。
主要国の祝日やクリスマス、年末年始、1日の取引時間が終わる間際、早朝などは取引参加者が減ることにより、流動性が低くなることがあります。流動性が高い通貨ペアを選択することや、取引する時間帯に注意することが大切です。
システムトラブルによるリスク
FX取引はインターネットやスマートフォンのアプリを介して注文します。
そのため、システムダウンや回線トラブル等により思ったタイミングで注文できず損失が生じることがあります。
システムダウンなどが起きた場合に備えてFX会社の問合せサポートの連絡先を予め確認しておくことが大切です。
上記5つのリスクが代表的な事例として挙げられますが、その他に地政学的リスクが存在します。地政学的リスクとは政治や軍事、社会的な緊張が高まり地理的な位置関係により、その特定地域の経済先行きが不透明となったり、商品市況の高騰や通貨の乱高下を招くリスクです。
分かりやすい例をあげると、戦争やクーデターが挙げられます。以前は「有事のドル買い」と呼ばれ、戦争やクーデターが起こるとリスク回避によりドルが買われる傾向が強かったように、地政学的リスクが価格変動に影響を与えることがあります。戦争やクーデターが起こると通貨の価格が急速に上昇、下落することがあるため、FX取引を行う上では、地政学的リスクにも気を配ることが必要です。
FX の危険性を回避する方法
FXのリスクを回避する方法は、大きく分けて4つに分類されます。
- FXの基礎を勉強する
- 余剰資金で取引する
- 低いレバレッジで取引する
- 損切りルールを決めておく
FXの基礎を勉強する
FX取引をするときには、FX用語や分析方法、資金管理や注文方法など基本的なことについてはしっかりと理解しておくことが大切です。
取引の基礎的知識がない状態で取引すると、大きな損失を出してしまう可能性がありますので、まずは基本をしっかりと押さえておきましょう。さらに相場の分析や国際情勢などを把握することで、戦略的に取引することができるようになるでしょう。
余剰資金で取引する
FXは、元本が保証されていない取引です。損失が発生しても生活に支障が出ないように、一般的に生活費（6ヶ月分が目安）や非常時に備えた資金、住宅購入資金、教育資金などを除いた余剰資金で取引することが重要とされています。
大きな利益を求めて生活費や非常時、将来使う予定のある資金に手をつけてしまわないように取引しましょう。
低いレバレッジで取引する
レバレッジが高いと大きな利益を狙える反面、損失も大きくなるリスクがあります。そのため、FX初心者は取引数量を抑えて低いレバレッジで取引することを推奨しています。
同じ資金で取引数量を増やすとレバレッジが高くなり、少なくするとレバレッジは低くなります。
予め取引証拠金を増やしておく、取引数量を減らすなどを行い、レバレッジが低くなるように堅実な取引を心がけましょう。
損切りルールを決めておく
FX取引では、感情に左右されずに取引することが大切です。損失を埋めたいという気持ちで含み損のポジションを長く保有し続けることや、一時の感情的な取引をすると、大きな損失を出すリスクが高くなることがあります。大きな損失を避けるために予め損切りルールを作って取引をしましょう。
逆指値注文（※）と呼ばれる損切り注文を設定しておけば、チャートをずっと見ていなくても指定した価格まで変動したときに自動的に決済されるため、損失を一定範囲に抑えることができます。
このような機能を有効活用しながら損切りルールを徹底するよう心がけましょう。
※変動が大きい相場になっている場合等はスリッページが発生する可能性があり、お客様にとって不利なレートまたは有利なレートで約定する場合があります。
その他には、ニュースを知るということも重要です。為替価格の変動については、各国の政治、金利、経済状況が色濃く反映されます。そのため、世界的なニュースには常に耳を傾けておく必要があります。
金利の動向や経済状況、地政学的なリスクなどを知っておくことで、多くのリスクを回避できる可能性が高まります。
金利の動向、経済状況は経済カレンダーに予想値も記載されていますので、確認すると良いかと思います。
FXに向いている方の特徴
FX取引に向いている方の特徴は、大きく分けて以下の3点です。
- 冷静な判断ができる
- 勉強が苦ではない
- 資金管理ができる
冷静な判断ができる
FX取引では、勝ちにこだわりすぎず損小利大（損失を最小限に抑えて利益を伸ばす）を意識することがポイントとなります。小さな負けが続いても感情的にならず、損切りを早めに実行することが長く取引を行う上で重要です。
また、含み益が出た時には利益確定したい気持ちを抑えて利益を伸ばしていくという冷静な判断が求められます。
つまり、FX取引は1勝9敗でも利益を出すことが可能です。FX取引をギャンブルのような感覚で取引をするのではなく、相場を分析して値動きの見通しを立てて取引をしましょう。
勉強が苦ではない
FX取引を戦略的に行うためには、FX用語や分析方法、資金管理方法や注文、決済方法、経済ニュースなど学ばなければならないことが多くあります。知識が乏しい状態で取引すると、大きな損失を出してしまう可能性が高まってしまいます。
勉強を怠らず、正確な知識を身につけ、相場分析を行ったうえで取引をすれば、取引結果は改善していく可能性が高いと思われます。勝った時にはなぜ勝ったのか、負けた時にはなぜ負けたのか、取引をしっかりと振り返って原因を分析することで次の取引でも勝てる確率が上がっていきます。
資金管理ができる
FXではレバレッジをかけた取引が行えるため、少額の自己資金で大きな利益を狙うことができます。
ただし、必ず勝てるとは限らないため資金管理が重要になってきます。
これまで述べてきた通り、生活に支障が出ないように余剰資金で行う、低いレバレッジで取引を行う、予め損切りルールを作ってルールを守りながら取引するなど、損失を回避するために徹底した資金管理を行うことが大切となってきます。
FX取引には高機能ツールが使える「FXネオ」の利用を検討しよう
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まとめ
FXは、危険性を理解せずに取引すると大きな損失を出してしまう可能性があります。
逆にきちんと危険性を理解した上で適切なリスク対策を意識しながら取引をすれば、利益を生み出すことも可能です。
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