FX取引では、通貨ペアによって値動きの大きさを表すボラティリティが異なります。典型的な例だと、英国ポンド(GBP)のボラティリティは他の通貨と比べても大きいと言われています。大きな値動きの中で取引するのが得意な方、あまりボラティリティが高くない通貨を得意とする方、ボラティリティが高まる時間での取引を得意とする方、ボラティリティがあまりない時間帯での取引を得意とする方、千差万別さまざまな投資家がいらっしゃいます。
ボラティリティを理解して取引することは、リスクを回避しやすくなるというメリットがあります。本記事では、ボラティリティを確認するメリットやボラティリティが高い通貨ペアを取引する際の注意点などを解説していきます。
FXのボラティリティとは
FXのボラティリティとは、値動きの大きさを指します。価格変動が大きいときは「ボラティリティが大きい」または「ボラティリティが高い」、価格変動が小さいときは「ボラティリティが小さい」または「ボラティリティが低い」と表現します。
FXでは、値動きが大きい時には大きな利益を得られる機会がありますが、同時に大きな損失を被る可能性もあるため、ボラティリティが大きい状態が常に良いとは言えません。ただし、ボラティリティが低い相場だと取引機会があまり訪れないので、取引を行う上ではボラティリティは非常に重要になります。
FXにおける通貨ペア別のボラティリティ
FXにおける通貨ペアでもボラティリティの高い通貨ペア、ボラティリティの低い通貨ペアがあります。また、当然時間帯によってボラティリティの違いもあるため、どの通貨ペアが自身に合っているのか、どの時間帯の取引が自身にあっているのかを把握することは、マーケットと長く付き合っていく上で重要になります。
ボラティリティが高い通貨ペア
一般的にマイナーな通貨ほど流動性が低く、ボラティリティが高くなりやすい傾向になります。「流動性が低い」とは、市場で売買される取引量が少ない状態を指します。言葉を崩すと、注文を受けてくれる相手方、または取引できる量が少ないということになります。その結果として、市場で潤沢な取引量や売買意欲がないため、大きな注文が実行される際に価格が急激に変動してしまうことがあります。
例えば、英ポンド/円やトルコリラ/円、南アフリカランド/円などは、ボラティリティが高い通貨ペアです。これらの通貨ペアは米ドル/円などと比べると流動性が低いため値動きが激しくなりやすい通貨です。大きな利益を狙える通貨ペアではありますが、一方で、損失も大きくなりやすいリスクがある通貨ペアなので取引する際には注意が必要です。
ボラティリティが低い通貨ペア
米ドル/円を筆頭とするメジャー通貨は、取引が盛んで売買意欲も高いため価格が比較的安定しています。また、取引が盛んで売買意欲も高いことにおける利点として、売りと買いの価格差(スプレッド)も狭くなります。投資家にとっては余計なコストを必要としないため、ボラティリティの高い通貨に比べて取引に有利な通貨ペアとなります。
例えば、米ドル/円やユーロ/米ドルやユーロ/円などは、取引が盛んでボラティリティが低く、スプレッドも狭い通貨ペアです。ただし、ボラティリティが低いこれらの通貨ペアでも、特定の時間帯や重要な経済指標の発表などがあるタイミングでは、スプレッドが広くなることやボラティリティが一時的に高くなる可能性があります。
FXのボラティリティが高くなりやすい時間帯・時期
ボラティリティの高い時間帯や時期を理解することで、取引におけるリスクを抑えることができます。以下の項目ではボラティリティの高くなりやすい時間帯と時期について紹介していきます。時間帯によるボラティリティの増減を把握することで、リスク管理を行うことが可能です。ご自身の投資スタイルと照らし合わせて、ベストな通貨ペアと時間帯で取引を行ってください。
ロンドン市場やニューヨーク市場が開いているとき
ロンドン市場は日本時間17時頃から翌3時頃まで、ニューヨーク市場は日本時間22時頃から翌7時頃まで開いています。これらの時間帯は、FXのボラティリティが高くなりやすい傾向があります。特に日本時間22時頃から翌3時頃は、ロンドン市場とニューヨーク市場が同時に開いているため、取引参加者が増えて、取引も活発になります。
市場で取引が活発になると、個人投資家から機関投資家、実需の取引なども活発化するため、ボラティリティも高くなります。ロンドン市場やニューヨーク市場が同時に開いている時間帯は、市場がより活発になり、価格の変動も大きくなる傾向があります。結果として、投資家はより多くの取引機会を得ることができる一方で、同時にリスクも高まる可能性があります。
仲値が決まるタイミング
仲値とは、金融機関が顧客との間で行う外国為替取引の際に基準として使用するレートのことです。刻一刻と動くレートを、取引する度に銀行に問い合わせていては効率が悪いので、「あるタイミングでその日の取引レートを決める」という経緯で仲値という制度が生まれました。その仲値の決まる時間帯が、日本時間の9時55分前後となります。
仲値で決められた取引レートは、よほど大きなレート変動がない限りその日1日は適用されることになります。しかし、決まった仲値から「1円以上」の変動があった場合には、仲値は【公表停止】となり、改めて仲値が決められるルールになっています。
日本の輸入企業から取引の依頼が多くなる時は、ドル不足になりやすいため、ドル高になりやすく、逆に輸出企業からの取引が多い時にはドル余剰となりやすいため、ドルの下落に起因することがあります。特に、ゴトー日と言われる5と10の付く日には、この状態が起きやすくなります。
また、ロンドン市場にも金の価格が決まる「ロンドンフィックス」という時間帯があります。この時間帯も日本の仲値同様にボラティリティが高くなります。ロンドンフィックスは、日本時間の25時(サマータイム24時)に行われます。金の取引は主にドル建てで行われるため、ロンドンフィックスの結果も外国為替相場に大きな影響を与えることがあります。
経済指標の発表や要人の発言がされたとき
経済指標とは、経済活動の様子や経済の健全性を把握するための数値やデータのことを指します。これらの指標は、政府機関や国際機関、民間の調査機関などが定期的に公表し、経済分析や政策決定のために利用されるものです。
経済指標にはさまざまな種類がありますが、一般的なものには国内総生産(GDP)、失業率、消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)などがあります。経済指標の内容が市場予想と一致するかどうかによって相場の動向が変化します。予想通りの場合は市場への影響は限定的ですが、予想と結果のギャップが大きければ大きいほど値動きも激しくなる可能性があります。
また、要人の発言(例:首脳、財務官、中央銀行関係者)も市場に影響を与えます。これらの発言は経済の現状や将来の見通しを反映しており、為替市場の動向に大きな影響を与えることがあります。
FXでボラティリティを確認して取引するメリット
ボラティリティを理解すると、次のような2つのメリットがあります。
ボラティリティが高い場合、為替変動リスクが高いと判断できるため、レバレッジを低くして大きな損失を避けた取引ができます。また、ボラティリティを確認することで、値幅を考慮しやすくなり、利益確定や損切りのタイミングを見極めやすくなります。
次に、取引のタイミングの判断ができます。取引を行う時間帯によっては、ボラティリティが高くなることが考えられます。リスクを避けて取引を行わないこともできますし、その時間帯に取引を行うのであれば、レバレッジなどを低く設定してリスクに気を配った取引を行う準備ができます。つまり、ボラティリティを把握することは、リスク管理や取引戦略の構築に役立つ重要な手段となります。
ボラティリティが高い通貨ペアを取引する際の注意点
ボラティリティが高い通貨ペアを取引する際の注意点としては、以下のようなデメリットがあります。最も影響の大きいものがスプレッド拡大です。また、値動きが大きなものになるため、利益も損失も大きなものになりやすいという注意点があります。詳細は次章で解説します。
スプレッドが拡大する可能性がある
スプレッドとは、FX取引において通貨を売る際の価格と買う際の価格の差を示します。FX市場では、売買のたびにこのスプレッドに応じた取引コストが発生します。ボラティリティが高い通貨ペアでは、市場の価格が急激に変動するため、スプレッドが広がりやすい傾向にあります。顕著な例としては、重要経済指標発表時などは、通常のスプレッドの何倍ものスプレッドになることが挙げられます。そのため、投資家はボラティリティの高い通貨ペアで取引する際には、スプレッドの変動に注意を払う必要があります。
損失が大きくなる可能性がある
ボラティリティが高い通貨ペアは、価格変動が激しいため、大きな利益を狙える一方で、大きな損失を出す可能性も高まります。ハイリスクハイリターンな傾向があるため、初心者はボラティリティが低い通貨ペアを選ぶことをおすすめします。さらに、ボラティリティに応じて取引数量を適宜調整するなど、リスク管理を徹底することが重要です。ボラティリティが高い通貨ペアでの取引では、利益の値幅に目が行きがちですが、損失の値幅も大きくなるという点に留意ください。
FXのボラティリティ分析・確認に役立つ指標
FXのボラティリティ分析をするには、テクニカル指標を確認することで役立つ指標があります。テクニカル分析といえば、売買タイミングを計るイメージがありますが、ボラティリティを計る指標としても重宝します。いくつか活用できるテクニカル指標がありますが、ここでは代表的な2つのテクニカル指標を案内します。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドとは、移動平均線と標準偏差から計算された上下の価格帯を線で表したテクニカル指標です。標準偏差は、一定期間のデータの平均値からのバラつきを示す数値です。上下のバンド幅が広いほど価格変動の度合いが高く、逆に狭いほど低いと判断されます。バンド幅が狭く収束しているスクイーズ状態では、価格が一定の範囲内で変動するため、短期間で大きな利益を期待することが難しいとされます。一方、バンド幅が拡大しているエクスパンション状態では、トレンドが発生しやすく、そのトレンドに沿って取引を行うことで大きな利益を狙える可能性があります。
DMI
DMI(Directional Movement Index)は、トレンドの強さを示すテクニカル指標の一つです。この指標は、上昇トレンドと下降トレンドの方向性を示す「+DI(Positive Directional Index)」と「-DI(Negative Directional Index)」、そしてトレンドの強さを示す「ADX(Average Directional Index)」の3つのラインから構成されています。これらの値を組み合わせることで、トレンドの方向性と強さを分析し、取引のタイミングや戦略を立てるのに役立ちます。ADXが高い場合はトレンドが強く、低い場合はトレンドが弱いと解釈されます。
まとめ
ボラティリティが高い通貨ペアは、大きな利益が狙えることと並行して、大きな損失も招く可能性があります。したがって、初心者は米ドル/円やユーロ/円などのボラティリティが低い通貨ペアでスプレッドも狭く、安定した通貨から取引をすることが重要です。ただし、米ドル/円やユーロ/円であってもボラティリティは経済指標の発表や要人の発言などによって急激に変動することがあるため、一概にボラティリティの低い通貨で取引したから問題がないとも限りません。取引前に通貨特性のボラティリティを確認し、時間帯にも気を配りながら損失を最小限に抑えるように心がけましょう。
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