
今までFX取引を行ったことがない方にとっては、FX取引はハードルの高い投資というイメージがあるかもしれません。しかし実際はそれほど難しいものではなく、投資初心者でもFX取引をはじめることが可能です。
本記事では、「FXの始め方」「FXのトレードスタイル」「FXでリスクを抑えるポイント」などについて解説します。
FXのやり方・始め方

FX取引を始めるまでの手順および取引時の手順を順番に解説していきます。これからFX取引を始めようとしている方は、ぜひご一読いただければ幸いです。また、口座開設まではしたけど、そこから何をすればいいのか分からない、次にやることが何なのかがはっきりしないという方も、合わせて確認ください。
利用するFX会社を選ぶ
まずは利用するFX会社を選びましょう。
FX会社によってスプレッド(※1)やスワップポイント(※2)といった取引条件、提供している取引ツールといった取引環境がそれぞれ異なるため、これらを比較検討して選定していきます。
※1 FX会社が提示する外貨の売値と買値の差額のことを指します。例えば米ドル/円(USD/JPY)が売値=150.000円、買値=150.002円の場合、0.002円(=0.2銭)がスプレッドとなります。
※2 各国の通貨を交換するときに生じる金利差の調整額のことを指します。例えばトルコリラ/円(TRY/JPY)買いの場合、低金利の円を借りて、その円で高金利のトルコリラを買っていることになります。その結果、円とトルコリラの金利差分の利益を日々受け取ることができます。
FX会社を選ぶポイント
FX取引を始める際に重要なのが、自分に合ったFX会社選びです。多くの会社がありますが、以下のポイントをチェックして比較することをおすすめします。
1.取引高や預かり資産が多く、ユーザーの評判もよい、信頼できる会社かどうか?
FX会社を選ぶ上で、安全性は非常に重要です。金融庁に登録されているか、財務状況が健全か、顧客からの評価が高いかなどを確認しましょう。
2.FX取引のコストになるスプレッドが狭いかどうか?
スプレッドはFX取引における実質的なコストです。同じ通貨ペアでも、FX会社によってスプレッドの幅は異なります。主要通貨ペア(米ドル/円、ユーロ/円など)のスプレッドを複数社で比較し、自分がよく取引する通貨ペアのスプレッドが狭い会社を選ぶとよいでしょう。
3.中長期取引をめざす場合は、日々受け取れるスワップポイントが高いかどうか?
スワップポイントは、金利の高い通貨を買い、金利の低い通貨を売るポジションを持つことで得られる金利差です。中長期投資を考えている場合は、スワップポイントの高さが重要な選択基準となります。FX会社によって提供されるスワップポイントの金額は異なるため、高金利通貨ペアのスワップポイントを複数社で比較することをおすすめします。
4.FX取引の始め方、チャートの見方、テクニカル指標や分析ツールの使い方など、基礎学習に役立つ初心者向けコンテンツが充実しているか?
特に初心者の場合、FX会社が提供する教育コンテンツの質と量は重要です。基本的な取引の仕組みやチャートの見方、テクニカル指標の解説など、わかりやすい教材が用意されているFX会社を選ぶと学習効率が上がります。
5.使い勝手のよい取引ツールが提供されているか?取引ツールには高性能なテクニカル指標や分析ツールが充実しているか?
取引ツールの使いやすさは日々のトレードに直接影響します。直感的に操作できるインターフェース、必要な情報がすぐに確認できるレイアウト、カスタマイズ性の高さなどがポイントです。
また、テクニカル指標や分析ツールの充実度も重要です。移動平均線、RSI、MACD、ボリンジャーバンドなどの基本的な指標はもちろん、高度なチャート分析ができるツールが提供されているかを確認しましょう。多くのFX会社ではデモ口座を無料で開設できるので、実際に使ってみて操作感を確かめることをおすすめします。
6.PC、タブレット、スマートフォンなど、自分が利用したいプラットフォームで取引環境が提供されているか?
自分のライフスタイルに合わせた取引環境があるかどうかは重要なポイントです。
例えば、通勤中や外出先でもトレードしたい場合は、スマートフォンアプリの使いやすさを重視すべきでしょう。逆に、自宅で集中してトレードする場合は、PC向けの高機能な取引ツールが充実しているかをチェックしましょう。
7.少額の投資資金でも取引可能か?(初心者は小額から始める方が早く慣れることができます)
初心者の場合、最初から大きな資金を投入するのはリスクが高いです。少額から始められるFX会社を選ぶことで、リスクを抑えながら実践的な経験を積むことができます。
最低取引単位(ロットサイズ)や最低証拠金額をチェックし、自分の資金に合った会社を選びましょう。中には1,000円程度から取引できるFX会社もあります。また、レバレッジ設定の柔軟性も確認しておくと良いでしょう。初心者は低めのレバレッジから始めることで、急激な損失を避けることができます。
口座開設する
利用するFX会社が決まったら、その会社のFX口座を開設しましょう。
口座開設の流れは次の通りです。
- 申込みフォームより必要事項を入力する。(WEB上で入力する場合が多い。)
- 本人確認書類などの必要書類を送付する。
- FX会社での審査があり、審査に通ると口座が開設される。
口座が開設されると、メールまたは簡易書留郵便などで口座開設の完了通知が届きます。その完了通知の内容に従って自身の口座へログインしましょう。
FX口座に資金を入金する
FX取引を始める前に、まず取引に必要な証拠金をFX会社の指定口座へ入金します。
FXでは入金した証拠金を担保として取引を行うため、事前に証拠金の残高がなければFX取引を始めることはできません。
入金方法は、金融機関の窓口やATMなどで銀行振込をする「振込入金」以外にも、WEBから即時入金可能な「即時入金サービス」を提供しているFX会社もあります。GMOクリック証券も「即時入金サービス」に対応しています。
通貨ペアを選ぶ
FX口座への証拠金の入金が終わったら、いよいよFX取引が可能です。
まずは取引する「通貨ペア」を決めましょう。「通貨ペア」とは、FXの取引対象であり、2か国の通貨を組み合わせたものです。(米ドル/円(USD/JPY)、ユーロ/米ドル(EUR/USD)など)
FX会社では多くの通貨ペアを取り扱っているため、選択に迷ったときは取引高の多い通貨ペアや、スプレッドの狭い通貨ペアを選ぶとよいでしょう。FX初心者が取引する際は、取扱高が大きく、値動きも比較的安定している「米ドル/円(USD/JPY)」を選択するのが無難です。
新規注文する
通貨ペアが決まれば取引開始です。FX取引の流れは「新規注文」⇒「ポジション保有」⇒「決済注文」の順で進みます。まずは「新規注文」です。
成行注文
成行(なりゆき)注文は、現在の市場価格で即座に注文を約定させる方法です。この注文方法の利点は、タイムリーな取引が可能であることです。市場が急激に動くときでも、すぐにポジションを取得または解消でき、スピードが重視される場面で最適です。ただし、希望価格での約定を保証するものではないため、価格が急変する場面では注意が必要です。
指値注文
指値(さしね)注文とは、希望する価格を指定して行う注文方法です。この方法では、指定した価格に市場が達した時点で自動的に注文が約定されます。指値注文の最大の利点は、希望する価格で取引を行える点にあります。これにより、トレーダーはリスクをコントロールし、計画的な取引が可能となります。一方、市場が指定価格に到達しない場合、約定されないことがあります。
逆指値注文
逆指値(ぎゃくさしね)注文とは、現在のレートよりも不利なレートで発注する注文方法で、通常の指値注文とは反対の概念に基づいています。このタイプの注文は、主に損失を限定するためのリスクヘッジとして使われるため、「ストップ注文」とも呼ばれます。市場が予想外の方向に動いたときの安全対策や利益確定のための手段として、トレーダーが広く利用しています。
上記以外にも、上級者向けに「IFD(イフダン)注文」「OCO(オーシーオー)注文」「IFO(アイエフオー)注文」といった注文方法もありますが、本記事では解説を割愛します。最初は成行注文、指値注文、逆指値注文の基本的な注文方法3つを使って経験を積むのがよいでしょう。
決済(利確または損切り)する
新規注文が約定すると、「ポジション保有」の状態になります。「ポジション」とは未決済の建玉のことです。
ポジションを保有していると、新規注文時の約定価格と現在レートの差分によって未確定の損益(=評価損益)が発生します。最後にこの損益を確定させるため、「決済注文」を出して保有しているポジションを決済しましょう。
決済注文は新規注文時と売買が反対になるよう出します。すなわち、買いポジションを保有している場合は売り注文、売りポジションを保有している場合は買い注文を出します。
FXのトレードスタイル

FX取引には、新規注文から決済注文までの取引時間によって下記の4つのトレードスタイルがあります。
- スキャルピング
- デイトレード
- スイングトレード
- ポジショントレード
FX取引を始める際は、これらのトレードスタイルを把握し、自身のライフスタイルに合わせて選択するとよいでしょう。ここからはその4つのトレードスタイルについてそれぞれ解説していきます。
スキャルピング
スキャルピングは、数秒から数分という超短期間にトレードを繰り返して利益を積み重ねていくトレードスタイルです。
超短期間でのトレードのため、スキマ時間を使った取引ができ、相場に大きなトレンドがない時でも利益を出しやすいのが利点です。また取引回数が多く資金効率が高いため、短期間で大きな利益をあげられる可能性があります。
その一方で、精神的な負担も大きくなりやすく、集中力がないと勝ち続けることは難しいトレードスタイルといえるでしょう。
デイトレード
デイトレードは、スキャルピングよりも長い時間を意識したトレードスタイルで、注文回数は1日に数回程度です。
基本的にトレードはその日の内に決済して終わらせるため、日本時間の夜間(ニューヨーク市場が動く時間)に相場が急変動するリスクは回避しやすいでしょう。
スキャルピングには劣りますが資金効率も高く、短期間で大きな利益をあげることができる可能性があります。
テクニカル指標や分析方法を駆使し、明確な売買ルールを持ちつつ、投資のチャンスを待つトレードスタイルのため、専業トレーダー向きのスタイルといえるでしょう。
スイングトレード
スイングトレードは、中期的なトレンドを狙ったトレードスタイルで、数日から数週間程度の期間でポジションを持ちます。よって取引回数も1週間に1~2回程度と少なくなります。
ポジションを複数日持ち越すため、スワップポイントによる利益の積み上げも狙えますが、スワップポイントがマイナスの場合はその分が損失となります。
スキャルピングやデイトレードのように頻繁にチャートを見る必要はなく、1日1回程度チャートを見ればよいので、会社員や事業主にも向いているスタイルといえるでしょう。
その一方で、トレンドに乗れば大きな利益を出すことができますが、一般的には資金効率は低くなります。トレンドに乗るためには、テクニカル分析およびファンダメンタルズ分析のスキルも必要となります。
ポジショントレード
ポジショントレードは、数週間から数ヶ月、あるいは年単位で長期間ポジションを持つトレードスタイルです。
トレンドに乗れば、大きな利益が得られるほか、スイングトレード同様に毎日発生するスワップポイントも追加の利益として狙えます。
しかし長期トレードは、投資をスタートしたら数ヶ月以上ポジションを保有するスタイルのため、しっかりと資金管理をしなければ知らないうちに資産が減っているリスクもあります。またトレンドに乗るためには、テクニカル分析およびファンダメンタルズ分析のスキルも必要となります。
FXでリスクを抑える取引のやり方・ポイント

FXでリスクを抑える取引のやり方やポイントはいくつかありますが、一気に取り入れることは困難であるため、まずは筆頭で必要な項目を3点、順番に解説していきます。
余裕を持った資金(証拠金)を口座に入金する
最低限必要なギリギリの分の証拠金を入金してFX取引を行うと、少しの相場変動でも追加証拠金を求められたり、場合によってはロスカット(FX取引で一定の水準以上の損失が発生した場合に、保有しているポジションを自動的に清算する仕組み)が発動したりする可能性があります。ある程度までの損失に耐えられるよう、余裕を持たせて証拠金を入金しておきましょう。
なお、生活に影響を及ぼさないように、余剰資金でFX投資をすることも大切です。
相場分析をする
その日の気分でやみくもにFX取引をしても、継続的に勝ち続けることはできません。FX取引で勝つためには、運や勘で取引するのではなく、相場を分析して根拠のある取引をすることが重要です。
相場分析方法には次の2種類があります。
・テクニカル分析:過去のチャートをもとに、経験的に相場の動向を分析する手法です。FX会社などが提供する分析ツールを活用しましょう。
・ファンダメンタルズ分析:経済指標(GDP、消費者物価指数、失業率など)や地政学リスク、政治的リスクなどをもとに相場の動向を分析する手法です。重要な経済指標が発表されると為替相場に大きな影響を与えるため、経済指標の発表時刻は特にチャートの動きを注視しましょう。
損切りラインを決めておく
将来の相場の動きを確実に予想する方法がない以上、FX取引で勝率を100%にすることは不可能と言っていいでしょう。
そのため、FXで勝つには「絶対に損失を出さないようにする」のではなく、「損失を小さくして、利益を大きくする(損小利大)」といった取引を続けることが重要です。
そして損失を小さくするためには自身の中で「損切りのルール」を作り、そのルールを守って取引するのがポイントです。新規注文を出すタイミングで、自分なりに相場の動きの予想を立て、それに応じた損切りのラインも決めておくとよいでしょう。
まとめ
・FX取引を始めるにはまず利用するFX会社を選び、そこで口座を開設して証拠金を入金しておく必要がある。
・入金後は通貨ペアを選び、新規注文→ポジション保有→利確または損切りの決済注文、という流れで取引する。
・トレードスタイルはいくつかあるが、ライフスタイルに合わせて自身に合ったスタイルを選択するのが良い。
・取引のリスクを抑えるポイントは、余裕をもって証拠金を入金しておくほか、相場分析をする、損切りラインを決めておくなどが挙げられる。
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