FXの両建てとは?取引方法やメリット・デメリット、注意点をわかりやすく解説

FXネオお役立ちコラム

FXの両建てとは?

FXのポジションには、「売り」と「買い」が一般的ではありますが、同じ取引通貨ペアで「売り」と「買い」を同時に保有する手法を、「両建て」と呼びます。両建てはFX取引手法の1つではありますが、メリットよりもデメリットの方が大きな手法であるため、FX会社でも推奨はされていません。
それでも両建てが手法として捉えられている背景には、どうしても行き詰った時に両建てにしてしまう投資家心理が背景にはあります。また、初心者の方であれば仕組みがよくわからず、無意識に両建てになってしまったということもあるでしょう。
本記事では、FXの両建ての基礎知識や実際の取引方法、メリット・デメリット、注意点を解説します。

FXの両建てとは

FXの両建てとは

通常、FXの取引では「片建て」から生じる価格差で利益を得ます。片建てとは、「売り」と「買い」どちらかのポジションを保有する状態を指します。相場が上がりそうだと予測するなら「買い」、下がりそうだと予測するなら「売り」のポジションを建てます。一方で、「両建て」は同じ通貨ペアで「売り」「買い」の両方のポジションを持った状態を指します。

両建てを使ったFXの取引

両建てを使ったFXの取引

両建てとは、「売り」「買い」の両方のポジションを保有する状態ですが、実際の取引例をサンプルに説明します。

成功例)
米ドル/円が150円の水準の時に買いのポジションを建て、151円の時に売りのポジションを建てたと仮定します。
米ドル/円の値動きが一時155円まで上昇した場合に150円の買いのポジションを決済します。その後、価格が下がり、145円まで下落した場合に、151円の売りポジションを決済します。
・結果、両建てした「買い」と「売り」のどちらのポジションでも利益を得られる可能性があります。

失敗例)
米ドル/円が150円の水準の時に買いのポジションを建て、151円の時に売りのポジションを建てたと仮定します。
米ドル/円の値動きが一時155円まで上昇した場合に151円の売りのポジションを決済します。その後、価格が下がり、145円まで下落した場合に、150円の買いポジションを決済します。
・結果、両建てした「買い」と「売り」のどちらのポジションでも損失に繋がる可能性があります。

FXで両建てを使うメリット

FXで両建てを使うメリット

FX会社が推奨しない手法であるように、メリットよりもデメリットが目立つ両建てですが、幾つかメリットもありますので、次章で紹介します。

価格変動のリスクヘッジになる

両建てを行うパターンの1つですが、売り、買い、どちらかのポジションを保有している場合、実際の値動きがマイナス方向に動き、心情的にはまだ戻ってくると考えてはいるものの、さらにマイナス方向に動く恐怖感がある。ただし、ここで損切りを行う決断がつかず、こういった場合に両建てを行うことがあります。
この場合、デメリットばかりが目につきますが、両建てにより一時的な損失の拡大を回避することができます。見立て通り値動きがさらにマイナス方向に動いたとしても、両建てを行った後者のポジションでは利益がでます。後者のポジションを利食い、その後、前者のポジションが利食いを行える水準まで戻ってくる。こうなれれば、両建てはメリットが大きいように思えますが、やはり全てがうまくいったと仮定した場合でないと両建てのメリットは見出せません。たたし、一時的な価格変動のリスクヘッジに寄与することは確かです。
ただ、以下のようなパターンでは有効に働く可能性が高いので、一例を紹介します。米国の雇用統計のような大きな指標を控えているものの、一時的な値動きがどちらに向かうのかが分からない、ただし、金利動向などを勘案すると、中・長期的には方向性が決まっているため、一時的なマイナスを回避するために、両建てにするなどの手法は有効だと考えられます。

年度末の税金対策になる

FXの未決済ポジションの含み益は課税対象とならないため、両建てを維持して年度をまたぐと、課税年度を1年先にすることができます。決して推奨する手法ではありませんが、年内に利益確定すると税率が上がる場合に両建てを利用する場合があります。

FXで両建てを使うデメリット

FXで両建てを使うデメリット

FXで両建てを行うデメリットについては、大きく分けて以下の3つに分類されます。

・取引コストが2倍になる
・スワップポイントの支払いが増える
・ロスカットを招く恐れがある

細かい点を挙げるとまだまだ出てきますが、まずはこの点をクローズアップして解説します。

取引コストが2倍になる

両建てにすると、FXの取引にかかるスプレッド(取引コスト)が「買い」と「売り」でかかるため、片建ての2倍になる点が挙げられます。FX会社によっては取引時間帯によってスプレッドの設定が変わるため、スプレッドが広がる可能性もあり、取引コストが2倍になることに加え、ロスカットは両建てにしたからないとの判断であっても、想定外のスプレッドの拡大でロスカットになる可能性もあるので、この点はデメリットとして考えられます。

スワップポイントの支払いが増える

同一通貨ペアで「買い」と「売り」のどちらのポジションを保有するかによって、スワップポイントは変わります。GMOクリック証券では、一部の通貨ペアでは「買い」と「売り」を一本値で提供(買い+40、売り-40)することもありますが、基本的には「買い」と「売り」では売りの方数字が大きくなる(買い+40、売り-45)ため、保有しているだけでスワップポイントは日々マイナスが膨らんでいきます。

ロスカットを招く恐れがある

FXの注文には、担保として取引数量に応じた必要証拠金が不可欠です。FX業者によっては両建てにすると「買い」と「売り」両方で証拠金が求められる場合があるため、この点も注意が必要です。また、急激な値動きでスプレッドが広がる、マイナススワップが続くと、評価損の増加により自動ロスカットされる恐れもあるため、両建てにしたので「絶対に」ロスカットにはならないということはないので、この点は誤解のないようお願いいたします。

FXで両建てにする際の注意点

FXで両建てにする際の注意点

FX取引においては、両建ては基本的には推奨されていません。大きな理由としては、上記に述べたようにメリットよりもデメリットの方が遥かに多い点が挙げられます。ただ、心理的に両建てをしたくなることもあるので、以下では両建てに関する注意点を解説します。

両建てを使ったFX取引は推奨されていない

FX会社では、両建ての禁止は行っていないところがほぼですが、金融商品取引業者による両建て取引の勧誘は、金融庁により原則禁止されています。二重の取引コストやマイナススワップなど経済的合理性を欠く取引であるため、実際は国内の証券会社のほとんどがFXでの両建てを認めているが、「推奨されていない」ことを理解しましょう。

塩漬けのまま取引の機会を失いやすい

両建ては損失の拡大を防ぎ、価格変動のリスクヘッジにもなるため、決済の判断を鈍らせる可能性があります。もう一方のポジションがあるからと、含み損を抱えたまま長期保有を続けると、損失拡大やロスカットが懸念されます。FXはポジションごとに適切なタイミングで売買することが大切であるため、適切な手法を学んでいきましょう。

両建てはFXの必勝法ではない

FXで両建てを使うと、損失リスクを抑えながら利益を狙える可能性もありますが、損失を防げる安全で確実な取引法ではなく、実際はコストや損失の拡大につながる恐れが大きい点を忘れないようにしましょう。とくにFX初心者はポジションを決済する判断がむずかしく損失を広げる恐れもあるため、積極的な利用は避けてください。

FXを始めるならチャート分析機能が充実しているGMOクリック証券を活用しよう

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両建ては取引手法のひとつとして知っておくと便利ですが、デメリットや注意点も多いため、できるだけ手法として使わないようにしましょう。両建てが推奨されない理由のひとつに取引コストが挙げられますが、片建ての場合でもコストをなるべく抑えることで利益を得やすくなります。
GMOクリック証券であれば、業界トップレベルで狭いスプレッドを提供しているため、取引コストを抑えられます。また、業界最高水準のスワップポイントを提供しており、長期保有と短期売買のどちらにも適しています。ぜひ、GMOクリック証券での取引を検討ください。

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