
ローソク足は、為替の値動きを一目で把握できる基本的なチャート指標であり、FXや株などの取引で広く利用されています。チャート分析の基本ともいえるローソク足を理解することは、FX取引において非常に有用です。本記事では、ローソク足の基本や組み合わせパターンなどから、相場を分析するポイントを解説します。
ローソク足とは?

ローソク足とは、始値・高値・安値・終値の4つの値動きを1本の時間軸で表したチャートを指します。その形や色によって相場の流れや強弱が視覚的にわかりやすく表示されるため、相場の状況をひと目で把握することができます。
ろうそくの形に似ていることから「ローソク足」と名付けられ、海外ではキャンドルチャートと呼ばれています。実はこのローソク足は日本で誕生したといわれ、江戸時代の米相場師である本間宗久が発明したとされています。彼は「酒田五法」という読み解き方も考案し、今日でも多くの投資家に利用されています。
ローソク足の見方

ローソク足の見方を理解するためには、以下の5つのポイントを押さえましょう。
- 四本値:始値、高値、安値、終値の総称です。
- 陽線と陰線:始値よりも終値の方が高い場合を「陽線」、始値よりも終値の方が低い場合を「陰線」と呼びます。陽線は赤色、陰線は青色で表現されることが多いです。
- 実体:始値と終値に囲まれた部分を指します。胴体と呼ばれることもあります。
- ヒゲ:瞬間の高値や安値を示し、実体の上下に飛び出す線(上ヒゲ・下ヒゲ)で表現されます。
- 足(あし):1日の取引内容を表すものを日足(ひあし)、1週間を週足(しゅうあし)、1カ月は月足(つきあし)と呼びます。
ローソク足の基本パターン
ローソク足の基本的なパターンとしては、大きく分けて9つに分類されます。次章では、どのようなパターンがあり、どのような見方をするのかなど、ローソク足の基本的な紹介を行います。
大陽線・大陰線

大陽線とは、実体部分が非常に大きい陽線で、ローソク足で特に注目されるパターンの一つです。この大陽線は、始値から終値にかけて買いの勢いが一方的に強かったことを示しており、今後も買いトレンドが続く可能性が高いと考えられます。
特に、ヒゲのない大陽線は「陽線坊主」または「丸坊主」と呼ばれ、非常に強い上昇トレンドのサインとされています。一方で、相場が高値圏にある時にこの大陽線が現れると、それが相場の転換点となるサインとして注目されることもあります。
大陰線とは、実体部分が非常に大きい陰線で、こちらもローソク足で特に注目されるパターンの一つです。この大陰線は、始値から終値にかけて売りの勢いが一方的に強かったことを示しており、今後も売りトレンドが続く可能性が高いと考えられます。
特に、ヒゲのない大陰線は「陰線坊主」と呼ばれ、非常に強い下落トレンドのサインとされています。一方で、相場が安値圏にある時にこの大陰線が現れると、それが相場の反転のサインとして注目されることもあります。
小陽線・小陰線

小陽線とは、ローソク足において実体部分やヒゲが大陽線に比べて小さい陽線を指します。この小陽線は、買いの勢いがやや優勢であるものの、相場全体が様子見の状態であることを示しています。
特に、上下のヒゲと実体部分が非常に小さい小陽線は「コマ」と呼ばれ、マーケットが方向感に欠けるときに出現しやすいとされています。
小陰線とは、ローソク足において実体部分やヒゲが大陰線に比べて小さい陰線を指します。この小陰線は、売りの勢いがやや優勢であるものの、相場全体が様子見の状態であることを示しています。
こちらも上下のヒゲと実体部分が非常に小さい小陰線は「コマ」と呼ばれます。
上影陽線・上影陰線

上影陽線とは、ローソク足において長い上ヒゲがあり、実体部分がローソクの下方に位置する陽線を指します。この上影陽線は、買いの勢いが優勢でありながらも、売りの圧力が強く、上値の重たさを示すサインとなります。
上ヒゲしかない場合は「トンカチ」と呼ばれ、一時的には買いが優勢であったものの、その勢いが長続きしなかったことを示します。一方で、相場が安値圏にある時に上影陽線が現れると、それは相場の反転のサインとして注目されることもあります。
上影陰線とは、ローソク足において長い上ヒゲがあり、実体部分がローソクの下方に位置する陰線を指します。この上影陰線は、買いの圧力が一時的に存在していたものの、最終的には売りが優勢となったことを示しています。
こちらも上ヒゲしかない場合は「トンカチ」と呼ばれ、これは買いトレンドが終わり、下落に転じる兆候とされています。特に、相場が高値圏にある時に上影陰線が現れると、それは下落に転じるサインとして注目されることもあります。
下影陽線・下影陰線

下影陽線とは、ローソク足において長い下ヒゲがあり、実体部分がローソクの上方に位置する陽線を指します。この下影陽線は、買いの勢いが強くなる可能性を示しており、特に相場が安値圏の時に現れると、相場反転のサインとして注目されます。
下ヒゲしかない場合は「カラカサ」と呼ばれ、売りトレンドの終わりを示し、下落傾向の中では反転のサインとされています。
下影陰線とは、ローソク足において長い下ヒゲがあり、実体部分がローソクの上方に位置する陰線のことを指します。この下影陰線は、買いの圧力が一時的に存在していたものの、最終的には売りが優勢であったことを示しています。
相場が安値圏の時に現れると、上昇に転じるサインとして捉えられます。
こちらも下ヒゲしかない場合は「カラカサ」と呼ばれ、高値圏では相場の警戒サイン、安値圏では反転のサインとされています。
十字線(寄引同時線)

十字線とは、始値と終値が同じで実体部分がほとんどないローソク足のことを指します。売りと買いの勢力が拮抗していることを示し、高値圏で十字線が見られると下落トレンドに転じるサイン、また安値圏で見られると上昇トレンドに転じるサインとして注目されます。
FX相場分析に便利なローソク足の組み合わせ
ローソク足は一本だけでも相場を判断するのに役立ちますが、複数の連続するローソク足の組み合わせに着目することで、相場の動きをより深く分析できるようになります。
FXで相場の分析に役立つローソク足の組み合わせを2つご紹介します。
包み足|トレンド転換のサイン

包み足は、連続する2本のローソク足で構成され、1本目の実体が2本目の実体に完全に包み込まれていることが特徴です。このパターンはアウトサイドバーとも呼ばれ、トレンド転換のサインとされています。
包み足は陽線と陰線の組み合わせにより、以下の2種類に分けられます。
①強気の包み足:これは下降トレンドの底で見られるパターンで、1本目が陰線、2本目が陽線であり、2本目の陽線が1本目の陰線の実体を完全に包み込んでいることが特徴です。
買い圧力の増加と上昇トレンドの始まりを示しており、買いのシグナルと考えることができます。
②弱気の包み足:これは上昇トレンドの天井で見られるパターンで、1本目が陽線、2本目が陰線であり、2本目の陰線が1本目の陽線の実体を完全に包み込んでいることが特徴です。
売り圧力の増加と下降トレンドの始まりを示しており、売りのシグナルと考えることができます。
このように、包み足パターンを活用することでトレンド転換のタイミングを把握しやすくなり、投資判断の精度を高めることに役立ちます。
はらみ足|トレンド転換のタイミングを知るサイン

はらみ足は、連続する2本のローソク足で構成され、1本目の実体の中に2本目の実体が収まっている状態を指します。このパターンはインサイドバーとも呼ばれ、トレンド転換のサインとしては包み足より弱いものの、トレンド転換のタイミングを示す重要なシグナルとなります。
はらみ足は、陽線と陰線の組み合わせにより、以下の2種類に分けられます。
①陽のはらみ足:これは1本目が陰線、2本目が陽線であり、2本目の実体が1本目の実体の中に収まっている状態を指します。
このパターンは、買いの勢いが落ち着いたことを示し、下落のサインとして捉えられることがあります。
②陰のはらみ足:これは、1本目が陽線のはらみ足であり、2本目の陰線が1本目の実体の中に収まっている状態を指します。
このパターンは、安値圏で発生すると、買いと売りの勢力が拮抗していることを示し、相場が反転するサインと解釈することができます。
ローソク足の組み合わせパターンを使ったFXでの取引例
ローソク足をFXの取引に活用する事例を2つ紹介します。
大陽線やカラカサ、安値圏での包み足は買いのサイン

こちらは、USD/JPYの5分足チャートにおいて、安値圏でカラカサが発生した際の画像です。その後、相場が上昇していることが確認できます。
安値圏でのカラカサ以外にも、大陽線や包み足は買いのサインとして重要視されます。
これらのシグナルを見逃さずに捉えることで、より効果的なトレード判断が可能となります。
大陰線やトンカチ、高値圏でのはらみ足は売りのサイン

こちらは、USDJPYの5分足チャートにおいて、高値圏でトンカチが発生した際の画像です。その後、相場が下落していることが確認できます。
高値圏でのトンカチ以外にも、大陰線やはらみ足は売りのサインとして重要視されます。
これらのシグナルを見逃さずに捉えることで、より効果的なトレード判断が可能となります。
このように、ローソク足のパターンを用いることで、相場の転換点を予測することが可能です。
ローソク足でFXの相場分析をする時の注意点

FX相場をローソク足で分析する際には、いくつかの注意点があります。以下では、その注意点を3つに分けて説明します。
短期の為替相場は分析しづらい
FX取引には、スキャルピング、デイトレード、スイングトレード、ポジショントレードなどの手法があります。これらは手法ごとに適したローソク足の時間軸が変わります。
スキャルピング
- 適したローソク足:1分足~15分足
- 解説:スキャルピングは短時間での取引を繰り返す手法で、迅速な判断と即時の反応が求められます。1分足や5分足などの短時間足を使用することで、微細な価格変動を捉えることが可能です。しかし、エントリーポイントを見つけるのが難しい場合があり、瞬時の判断力が必要です。
デイトレード
- 適したローソク足:5分足〜日足
- 解説:デイトレードは1日の間にポジションを開閉する手法です。5分足や15分足、1時間足を使って日中の価格変動を分析します。日足も併用することで、その日の相場の大まかな流れを把握しやすくなります。
スイングトレード
- 適したローソク足:1時間足~週足
- 解説:スイングトレードは数日から数週間の中期取引を行う手法です。1時間足や4時間足、日足を使って中期的なトレンドを分析します。週足も使用することで、長期的なトレンドの確認も可能です。
ポジショントレード
- 適したローソク足:日足~月足
- 解説:ポジショントレードは数週間から数ヶ月、時には数年にわたる長期取引を行う手法です。日足や週足、月足を用いて長期的なトレンドを捉え、安定したトレードを目指します。長期間の保有を前提とするため、短期的な価格変動にはあまり影響されません。
「だまし」が発生する場合がある
FX取引において、「だまし」が発生する場合があります。「だまし」とは、チャートがローソク足のパターン予測とは逆の動きを示す現象です。
特に短期のローソク足では「だまし」が発生しやすく、ローソク足を用いて正しくチャートを分析していても、「だまし」によって損失が発生する恐れがあります。
分析の精度を上げるためには、ローソク足だけでなく、移動平均線やMACD、RSIなどの指標を追加し、複合的に判断することが有効です。
本間宗久と酒田五法について

最後に、冒頭でも触れた本間宗久と酒田五法について解説します。
本間宗久は1724年、山形県酒田市で生まれ、16歳で江戸に行き米の先物取引に出会いました。父から分与された資金で米相場に挑戦し、酒田五法を用いて巨財を成したと言われています。
酒田五法の名前は、宗久の出生地と成功の地である酒田の米市場に由来するとされています。
酒田五法の時間軸はある程度長く、デイトレードで利用する場合はだましに注意が必要です。
酒田五法には、以下5つの基本的な型があります。
- 三山(さんざん) 三山(さんざん)は、上昇トレンドの後に現れることがあり、相場の転換点として注目されます。このパターンは、同じ水準で三度高値をつけた後に反落する特徴を持ち、そのレジスタンスラインを超えるだけの買いの力が不足していると判断されます。
- 三川(さんせん)三川(さんせん)は、下落トレンドの後に三度安値をつけてから反転するパターンであり、買いシグナルとしてよく利用されます。このパターンが出現すると、相場の下落が終わり、そのレジスタンスラインを超えるだけの売りの力が不足していると判断され、上昇に転じる可能性が高いとされます。
- 三空(さんくう) 三空(さんくう)は、連続するローソク足が窓を開けて形成されるパターンであり、相場の強い過熱状態を示すサインです。上昇トレンドでは上昇三空、下降トレンドでは下降三空として現れます。このパターンが出現すると、相場は過熱状態を示しているため、反転する可能性もあると判断されます。
- 三兵(さんぺい)三兵(さんぺい)は、三連続の陽線または陰線で構成され、トレンドの継続を示すパターンです。上昇トレンドでは上昇三兵、下降トレンドでは下降三兵として現れます。このパターンが出現することで、現在のトレンドがさらに強まる可能性が高いと判断されます。
- 三法(さんぽう) 三法(さんぽう)は、トレンドの途中で一時的な休憩を示すパターンであり、トレンドの再開を予測します。上昇三法では上昇トレンドの中で一時的な調整が行われた後に再度上昇、下降三法では下降トレンドの中で一時的な調整が行われた後に再度下降することを示唆します。このパターンを確認することで、トレンドが一時的に弱まった後に再び強まることを予測することができます。
これらの基本型に加えて、さらに多様なサブパターンが存在し、細かく分けると30種類近くになります。これらを組み合わせて、買いシグナルや売りシグナル、あるいは待ちのタイミングを判断することができます。酒田五法は、相場の動きを時代を超えて分析できる貴重な手法であり、現代のトレードにも多くのエッセンスを提供しています。
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