
WTI原油のCFD取引は、原油先物取引に比べ、少額から取引ができたり、決済期限なく取引できたりするメリットがあります。ただし、金融商品全般に言えることですが、過度なリスクをとる場合は、ロスカットされて損失が出たりすることがあるため、慎重に取引することが大切です。本記事では、CFD銘柄として人気上位であるWTI原油のCFD取引をするメリットやポイント、注意点などを解説します。
WTI原油とは?

WTI原油とは、米国テキサス州沿岸部の油田で産出される原油のことを指します。他にも銘柄として北海原油などもGMOクリック証券では取り扱っていますが、一般的に「原油」と呼ばれる銘柄は、WTI原油のことを指します。WTIは、West Texas Intermediate(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)の略であり、アメリカ産であるため「USOIL」と表記されることもあります。
WTI原油は硫黄分が少なく、ガソリンや軽油を多く抽出できる高品質な原油であることから非常に商品価値が高く、投資への関心も高い銘柄になります。原油にはいくつか種類がありますが、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されているWTI原油の先物価格が原油価格の代表的な指標とされています。
WTI原油の先物を参照原資産としたCFDとは?
GMOクリック証券のCFDには、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)に上場するWTI原油先物とする銘柄として「WTI原油」があります。取引時間などは以下のようになっています。
・取引時間:月曜~金曜の7:00~翌7:00(米国夏時間7:00~翌6:00)
・取引単位/取引単位あたりの取引量:CFD価格の10倍/10バレル
原油ETF・原油先物との違い
原油先物は将来の価格で原油を売買する契約で、取引所で期限が定められており、現物受渡しや決済が必要となります。一方、原油ETFは原油価格に連動する上場投資信託で、現物受渡しや決済が不要です。その他の原油関連商品には、原油関連株式や原油オプション、ETN(上場投資証券)があります。これらも原油市場に投資する手段として利用されます。
原油ETF
ETFとは、金融商品取引所に上場している投資信託です。取引は取引所の営業時間内に限定されており、リアルタイムでの売買が可能です。このため、流動性が高く、投資家は市場の変動に応じて迅速に取引を行うことができます。
原油ETFを保有する際には信託報酬が発生します。この費用はファンドの運営にかかるためのもので、投資家が間接的に負担することになります。信託報酬は通常、ETFの総資産に対して一定の割合で設定されており、運用管理やリバランスなどの費用を賄います。
原油先物
原油先物は、将来の特定の期日(限月)に、あらかじめ決めた価格で原油の受け渡しを約束する取引です。現時点で将来の価格を固定できるため、価格変動リスクのヘッジや、価格差を狙った取引に利用されます。
原油先物は限月が到来すると取引が終了するため、ポジションを持ち越したい場合は、事前に新たな限月の先物に乗り換える「ロールオーバー」が必要となります。
一方、CFD(差金決済取引)は、原油などの価格変動に投資する金融派生商品ですが、現物の受け渡しや限月がなく、ポジションを持ち越しできます。
「WTI原油」のCFD取引をするメリット

WTI原油のCFD価格は、世界情勢や主に米国の景気に左右されて上下します。例えば2023年11月30日にサウジアラビアなどのOPEC加盟国とロシアなどのOPEC非加盟国から構成されるOPECプラス会合が開催されていますが、このOPECプラス会合での決定事項が値動きに大きな影響を与えます。
2023年11月30日に行われた会合時では、サウジアラビアやロシアは自主減産の延長を公表しましたが、加盟国全体での追加減産は合意できなかったという経緯があります。WTI原油価格は、OPECプラスが追加の減産に踏み切るのではという観測から、OPECプラスの会合に向けて一時的に上昇傾向にありましたが、会合の結果を受けて下落するなど影響は大きく、ニュースなどでも動向を把握しやすい点は、FX取引の米ドル/円に似ているかもしれません。
現状は、OPECプラス全体での意見が一致しなかったことで、今後のWTI原油価格がどのように変動していくかが注目されており、引き続きボラティリティも高く、取引高も上位の銘柄になっています。
少額から取引ができる
WTI原油のCFD取引は、レバレッジをかけられるため少額から取引することが可能です。原油のCFD取引は商品CFDに含まれるため、レバレッジは最大20倍、最低取引単位はCFD価格の10倍となります。例として、WTI原油のCFD価格が75ドルの場合、最低取引単位は10倍の750ドルとなり、レバレッジを20倍にすると1枚あたり約5,500円、0.1枚なら約550円(1ドル146円の場合)から取引可能となります。
下落局面でも利益を出せる
デリバティブ商品のメリットでもありますが、WTI原油のCFD取引は、上昇局面だけでなく下落局面でも利益を出すことが可能です。売り注文から始めて買い戻すこともできるため、高く売って価格が下がったところで安く買い戻せば、利益を上げられます。
決済期限がない
GMOクリック証券が提供するWTI原油に関しては、先物取引と違い、決済期限を気にする必要がありません。先物取引では決済期限が決まっていて、期限がくると強制的に決済されますが、GMOクリック証券のCFD取引に関しては、「価格調整」を行、リスクなく限月を切り替えてくれるため、決済期限を気にする必要がないというのが大きなメリットになります。
「価格調整額」とは価格の異なる限月の交代により発生する評価損益を調整するために受け払いを行うことです。価格が期近<期先の場合、買建玉は保有ポジションの値洗いがプラスになるため、マイナスの「価格調整額」でバランスをとり、売建玉は保有ポジションの値洗いがマイナスとなるため「価格調整額」でプラス分を付与することで調整を行います。つまり、限月切り替えのコストを気にせずWTI原油のポジションを保有できます。GMOクリック証券が提供するWTI原油のCFD取引は決済期限がないので、いつでもポジションを売買でき、保有の継続や利確・損切りを柔軟にできます。
また、GMOクリック証券の「価格調整額」では大きなメリットが他にもあります。業者によってはキャリングコスト(限月のある銘柄を持ち越した場合、その建玉を維持するために必要な証拠金に対して一定の料率を掛け合わせた金額)がかかる場合がありますが、GMOクリック証券ではこのキャリングコストは掛かりません。また、キャリングコスト以外にも、代表的なところだと原油の保管料などを手数料として差し引かれるケースがありますが、GMOクリック証券ではこのような手数料は一切かかりませんので、お客様には安心して取引を行っていただくことができます。
「WTI原油」のCFD取引における価格変動要因

WTI原油のCFD取引の価格は、OPECプラスの戦略、世界の原油在庫動向、そして国際的な地政学的緊張に大きく左右されます。
OPECプラスの方針
OPECプラスの方針は、原油市場の安定化を目的とした協調的な生産調整を指します。OPEC(石油輸出国機構)とその協力国である非OPEC産油国(特にロシア)から成るグループであり、需給のバランスを保つために生産量を増減させる方針を策定します。このような方針は、原油市場の価格安定に寄与する一方、各国の経済や政策に直接的な影響を及ぼします。
原油の在庫状況
原油の在庫状況は、原油市場の需給バランスや価格に大きな影響を与える重要な指標です。
在庫データは主に、米国エネルギー情報局(EIA)や国際エネルギー機関(IEA)が発表する週間報告や月次報告で提供され、これらの数字は市場に対する期待や投資家の心理に影響を与えます。
また、原油在庫は季節性の変動も受けやすく、冬季の暖房需要や夏季のドライブシーズンに応じて変化します。これにより、在庫状況は価格の短期的な変動を促す要因となります。
地政学リスク
地政学リスクは、原油価格に対する重要な影響要因の一つです。特に中東地域は、世界の原油供給の中心地でありながら、紛争や政治的な不安定性に悩まされているため、原油市場に対する影響が大きいです。イラン、イラク、サウジアラビアなどの産油国は、内部の政治情勢や隣国との関係に依存しており、これらの国での紛争や緊張が高まると、原油供給に対する不安が市場に広がります。その結果、原油価格が急騰することがあります。
原油投資を行う上では、これらの国々の情勢を日々ニュースなどを通じて把握しておくことが重要です。しかし、地政学リスクはひとつの産油国の状況だけにとどまりません。原油市場は世界的に連動しているため、他の地域の政治や経済の変動も価格に影響を与える可能性があります。例えば、欧州やアジアの経済情勢、特に主要な消費国における需給バランスやエネルギー政策の変化は、原油需要に影響を及ぼし、価格動向に反映されることがあります。加えて、国際的な貿易関係や環境政策の変更も、原油の流通に影響を及ぼし、価格の変動要因となることが考えられます。
したがって、原油の取引や投資を行う際には、中東地域の情勢と合わせて、世界全体の経済や政治状況を俯瞰することが不可欠です。
「WTI原油」のCFD取引をする際の注意点

上述したように、原油銘柄はボラティリティが高いため、幾つか注意点があり、まずは、ロスカットを気にする必要があります。そして、不随する形で追加証拠金(追証)についても気にする必要がでてきます。また、GMOクリック証券での取引ではあまり気にする必要はないですが、限月切り替えのタイミングでの価格調整額についても幾つか注意する必要があります。
ロスカットが発生する可能性がある
WTI原油のCFD取引は、最大20倍のレバレッジをかけられるため、少額で大きな取引が可能ですが、レバレッジを高くしすぎると少しの値動きで大きな損失が発生する可能性もあり、ロスカットの確率も上がる点は注意する必要があります。
ロスカットとは、証拠金が一定の証拠金維持率を下回った場合に保有しているポジションが強制決済される制度のことであり、損失の拡大を防ぐために導入されているものの、予期せぬタイミングで強制決済され、損失が確定してしまうことがあるため、注意が必要です。取引に慣れないうちは、取引数量を抑えて実効レバレッジが低くなるようにしたうえで取引しましょう。
追証が発生する
上述したように、証拠金維持率が一定水準を下回るとロスカットが執行されます。ただし、すぐにロスカットされるわけではなく、まずは不足分の入金を求める追証が発生し、追証に対応できなければロスカットされる形になります。
ただし、GMOクリック証券ではポジションごとのロスカットを行うセーフティバルブシステム(S.V.S)を採用しています。S.V.Sでは、相場状況などを加味して自動計算されるロスカット幅を用いて、新規約定時にポジションごとにロスカットレートが設定されます。そして、ロスカットレートを割り込んでしまった時に、該当のポジションだけがロスカットされることになります。つまり、ロスカットされるのは、ロスカットレートに達したポジションだけということになります。
一般的なロスカットルールでは、ポジションごとにロスカットレートが設定されるのではなく、口座全体の証拠金維持率が一定の値を下回った時に、全てのポジションがロスカットされてしまいます。この方法だと、評価益の出ているポジションまでロスカットされてしまったり、取引時間外の銘柄は取引が再開されるまで待ってロスカットされるため、ロスカット判定時の評価レートとは乖離したレートでロスカットされるといった弊害が発生してしまいますS.V.Sは、このような従来のロスカットルールの問題を克服した新しいロスカットシステムです。
追証が発生したときは、取引口座に追加入金することで証拠金維持率が回復し、強制決済をことが可能であり、保有ポジションを少なくすることでも証拠金維持率を回復させることができます。追証が発生しても大丈夫と考えず、そもそも追証が発生しないように早めの損切りを心がけるようにしましょう。
限月の乗り換えにより価格調整額が発生する
WTI原油のCFD取引は、先物取引と違って決済期限がありません。ただし、原資産である原油先物が限月を迎えた場合に、期先(期日が先)の原油先物に乗り換える必要があるため、価格調整額という形で限月を切り替えます。価格調整額に手数料などが発生する場合もありますが、GMOクリック証券では手数料などはないため、取引する上で有利な環境と考えられます。
WTI原油のCFD取引の総まとめ
WTI原油のCFD取引は、少額から取引することが可能であり、レバレッジを効かせることで、少額でも大きな取引をすることが可能です。また、売りから新規注文を行うことができるため、下落局面でも利益を出せたりするメリットがあります。ただし、非常にボラティリティが高い銘柄であるため、ロスカットや追証にならないようにリスク管理は気を付ける必要があります。
OPECプラスの方針や原油の在庫状況などを注視しつつ、取引数量を抑えて堅実に取引しましょう。WTI原油は非常に人気のある銘柄ですが、コストを抑えてCFD取引をしたい方、便利なチャートツールが使える証券会社を選びたい方は「GMOクリック証券」を検討しましょう。
WTI原油のCFD取引には「GMOクリック証券」の利用を検討しよう

「GMOクリック証券」のCFDでは、WTI原油先物を参照原資産とする「WTI原油」を取り扱っています。「GMOクリック証券」は、国内店頭CFD取引高シェアが11年連続No.1(※)であり、知名度が高く、多くのトレーダーに利用されている実績があります。また、取引手数料無料で低スプレッドであることも大きなメリットです。
専用アプリを使えば、銘柄検索やチャート分析、注文、決済などの操作がスマホで完結します。電話や問い合わせフォームで質問ができ、サポートも手厚い、コストを抑えて取引できる証券会社を選びたい方、便利なチャートツールが使える証券会社を選びたい方は「GMOクリック証券」を検討しましょう。
※店頭CFDの年間取引高は、日本証券業協会及び日本商品先物取引協会の統計情報より当社調べ(2014年1月~2024年12月)。
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